パーソル総合研究所を退職します!

みなさまにご報告です。

3月末をもちまして、パーソル総合研究所を退職することになりました。
在職中、お世話になった方々、どうもありがとうございました。

2006年、新卒でインテリジェンス(現・パーソルキャリア)に入社して12年。
この12年間、決して「平坦な道のり」でも「見通しの明るいキャリア」でもなかったように思います。正直に言えば、身の丈以上の仕事の連続に気がひけることの方が多く、いつもどこか憂鬱な気持ちを抱えながら仕事をしてきたように思います。

それでもただ一つ。自信をもって言えることは、「12年前、悩みながらも自分の意思でインテリジェンスを選んだことに一点の悔いもない」ということです。

「チャレンジングな仕事」と「尊敬すべき人たちとの出会い」に恵まれ、今こうして晴れやかな気持ちで最終日を迎えられている自分は、本当に幸せ者だと思います。

せっかくの機会なので、少しだけ過去に思いを馳せ、自分なりに走り続けたこの12年間を振り返ってみようと思います。

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まず、最初の4年半を過ごした営業時代。
右も左もわからないペーペーの小僧に、社会の理不尽さとそれを愛嬌で乗り切る術を教えてくれたのは「お客さん」でした。僕にとって営業の最大の醍醐味は、何といっても創業社長とのお仕事。なぜリスクをとって起業したのか。事業と人をどうやって成長させてきたのか。誰を後継者にしようと思ってるのか・・・など、どんな経営書にも書いていないような生々しい話にいつも興味津々でした。(営業そっちのけで)ずーっとそういう話を聞いている営業失格人間でした。ただ、それを咎められることなく、むしろ「田中っぽいよね」と面白がり、自由にやらせてくれた当時の上司や同僚には感謝の気持ちしかありません。

新人時代、今でも忘れられない経験があります。
必死になって新規開拓し、やっとの思いで採用の支援をした最初のお客さんがなんと1年後に倒産してしまう、という経験です。当時の僕にとってこの出来事はかなりショックで、仕事に対する見方が大きく変わりました。求人と求職者の単なるマッチメイクではなく、出会った後の双方の成長にどれだけ貢献できるかこそが採用支援の本来の価値だ、という教訓がこの時強く刻まれました。

お客さんの採用ニーズが軒並みストップしたリーマンショック時には、採用支援の無力さを痛感しつつ、これまでいろんなことを教わったお客さんに何か違う形で学びを返したいという思いから、「企業内人材育成入門」を片手に、人材育成の勉強会を企画してました(この時には、まさか本の著者が将来の恩師になるとは想像もせず!)

ちょうどその頃、縁あってインテリジェンスHITO総合研究所(現パーソル総合研究所)の設立に関わる機会に恵まれました。この時、自分でも気づいていなかった適性を見抜いてくださり、キャリアチェンジを指南してくれた美濃啓貴さんには心から感謝しています。

2010年、インテリジェンスHITO総合研究所は、私と森安亮介さん(現みずほ情報総研)の研究員2名体制でスタートしました。当時、「歩きながら議論すると思考が活性化されて良い」という森安さんの教えにより、皇居の周りをぐるぐる周回しながら、雇用や働き方の未来をあーだこーだと話し合ってました。のちに、森安さんは労働経済研究の道へ、私は人材開発研究の道へ、それぞれ異なる道を歩むことになりますが、お互いのバックグラウンドの違いを掛け値無しにぶつけ合い、議論できた日々は最高に贅沢で楽しかったです。

立ち上げ後しばらくして、須東朋広さんの加入により、アカデミアとのネットワークがぐっと広がりました。人的資源管理の研究分野の奥深さに魅了され、「あ、自分はこの領域で生きていきたいんだ」と朧げながらも実感し始めたのがちょうどこの時期です。特に人材育成の研究を志したいという思いから、2014年に東京大学大学院に進学することになりました。中原先生との出会いのきっかけを作ってくださったのも須東さんでした。本当にありがとうございます。

2015年、渋谷和久さんの社長就任をきっかけに、組織は急拡大フェーズに入りました。営業部門から日々寄せられる顧客の人事課題に対し、思いある企業人事のみなさまと優秀な仲間たちと、それぞれの立場を超えて本気でタックルできる研究環境は、当社ならではで、とても刺激的でした。分析職人・小林祐児さんら強力な研究員が加わったことで、「アルバイト・パートの採用育成」や「ミドル・シニアの躍進」など、世に届く研究を徐々に生み出すことができるようになりました。

当初2名からスタートしたよちよち歩きの組織が、今では12名(他部門を含めると70名超え)の「チーム」になりました。櫻井功さん、田井千晶さん、高橋美鈴さんというマネジメント陣のもと、組織はこれまで以上に社会に影響力をもたらす存在へと拡大していくことでしょう。

巣立つ身として、心残りはありません。控えめに言って、今後のパーソル総研には期待しかありません。これからのパーソル総研ならびにパーソルグループに是非ご期待ください!

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最後に、私自身の今後について記しておきます。

4月からは立教大学経営学部 助教に着任し、研究者としての新たなキャリアをスタートさせます。所属は変わりますが、今後さらに、人と組織の成長・学習に関する研究領域を探究していくことに変わりはありません。(パーソル総研ならびにパーソルグループには、今後、外部研究者という立場から関わっていく予定です)

この決断によって一部の方々に多大なご迷惑をおかけしてしまうことを申し訳なく思っていますが、新天地での活躍が、これまで自分を育てて頂いた皆様と古巣組織への最良の恩返しになると信じ、前だけを向いてこれからも挑戦を続けていきます。

これまでありがとうございました。
そして、これからもどうぞよろしくお願いいたします!

2018年3月末 田中 聡